味覚は変わるよ、どこまでも

味覚は変わるよ、どこまでも
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年齢を重ねるにつれて、「できなくなったこと」や「体力の衰え」に直面して、ちょっぴり自分にがっかりすることってありませんか?


鏡を見るたびにため息をついたり、若い頃のようにはいかない自分に寂しさを覚えたり。

でも、歳を重ねるのって、悪いことばかりじゃないなと思うんです。いえ、負け惜しみとかそんなのではなく。

なぜそんなことを言うかといえば、実はごく最近、私の暮らしの中で「小さな、でも驚くべき大逆転劇」が起きたから。


長年どうしてもハイタッチ(※あくまでも心の中のイメージ)できなかった「ある味覚」と、20年以上の時を経て、突然「イエ~イ」(※あくまでも心の中のイメージ)な関係になれたのです。

今日は、そんな私の驚きと、年齢を重ねることのちょっとした楽しさについてお話しさせてください。


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20年間、ずっともやもやしていた「にんじんとツナのサラダ」

料理研究家の栗原はるみさんの、あまりにも有名なレシピ。
「にんじんとツナのサラダ」です。

ごちそうさまが、ききたくて。

私がまだ新婚だった20年以上も前、この本でレシピを見つけ、「人参がたくさん食べられるレシピ!」と心が湧きたったのを覚えています。

それと私がこのレシピに強くひかれた部分は「粒マスタード」。

当時は粒マスタードを使うレシピがとてもオシャレに感じて、何としても自分の得意料理に昇格させたいという気持ちが湧いたのです。

現在の私(=ぼっち主婦)と違い、当時はまだかろうじて繋がっている友人と呼べる人もいたので(書けば書くほど悲しくなるな)、持ち寄りパーティなどもありました。

そんな時に、おしゃれな栗原はるみさんの!粒マスタードを使ったおしゃれなサラダを!

持ち寄れたらいいなぁと企んで考えていたのです。

早速材料を買い込んで作ってみました。

がしかし、何度作っても好きになれなかった

ただ…美味しくない。

んな訳あるかいとその後も何度挑戦したことか。

にんじんの千切りの細さを極めてみたり。

ときにはツナ缶の種類を変えてみたり。

もちろん調味料の配合だって、レシピに忠実に、ミリ単位でこだわって作りました。

だけど、何度作っても、どうしても私の口には合わなかったんです。

「あれ?みんなが絶賛するほど美味しくない…かも…」

それでも作り続けた理由

その後も懲りずに(自分を褒めてる)何度も何度も作りました。だってみんなが美味しいって言ってるのだから。

みんなが美味しいって言ってるのだから、絶対に美味しいはず。美味しくないと感じるのは自分のせい ←でたっ

そんなチャレンジを経て結局、「私にはこの味は苦手なんだ」と自分の中で無理やり落としどころをつけ、我が家の食卓からそのメニューは消えました。

でも、その後もずーっと、栗原はるみさんの大人気レシピとしてメディアで見かけるたびに、私の心の中には小さな「もやもや」が居座り続けていたのです。


「どうして私だけ、その美味しさが分からないんだろう?」と。

そんな執念にも似た強い「諦めない気持ち」が、とうとう日の目を見ることになったのです。


きっかけは、20年ぶりにラフに作ったことだった

そんなもやもやを抱えたまま20年。


実は私、もう一つ長年苦手なものがありました。それが「オリーブオイルの独特な風味」です。

体に良いのは分かっているけれど、あの特有の香りがどうにも得意ではなくて、我が家の油のスタメンからはずっと外れていました。

ところが、つい最近のこと。


本当に何気なく、ごく最近になって「あれ?オリーブオイルってこんなに美味しかったっけ?」と感じる瞬間があったのです。

それをきっかけに、ふとあの20年前の「もやもや」が頭をよぎりました。

torico
torico

…今なら私、あのサラダの味、分かるかもしれない

そう思い立ち、20年ぶりににんじんとツナを用意しました。


だがしかし、かつての新婚の頃のように、肩に力を入れてレシピを忠実になぞることはしません。だって自由なおばさんだもの。


千切もスライサーでガー、調味料だって「これくらいかな?」と、今の自分が心地いいと思えるくらいラフに、ざざっと和えてみたんです。


一口食べて、驚いた。

味の調整としてサラダを一口。

torico
torico

……えっ、ものすごく美味しい……!

思わずキッチンで声が出てしまいました。

正確には「うまっ」と言いましたが。


20年前、あれほど「苦手だ」と突っぱねていたはずの味が、今の私にはこれ以上ないほどしっくり馴染み、「これ、私の大好物!」と言える美味しさに変わっていたのです。

以前と違う点といえば、本当に「ラフに作ったこと」くらい。


でもそれ以上に変わっていたのは、私の「味覚」そのものでしょう。

どこまでも変わらないと思っていた自分の好みが、20年という年月をかけて、いつの間にかグラデーションのように変化していた。その事実に、ただただ驚くばかりでした。


変わっていく自分を、面白がって平気で生きたい

年齢を重ねると、できないことが増えたり、変化に戸惑ったり、ちょっぴり悲しい気持ちになることも多いものです。

でも、今回の「にんじんサラダ復活劇」を経験して、ちょっと嬉しい自分がいます。

若い頃に頑なに「苦手だ」「嫌いだ」と決めつけてシャッターを下ろしていたものが、時を経て、向こうからひょっこり笑顔で近づいてきてくれる。


それって、長く生きてきたからこそ味わえる、私にとってのご褒美かもしれないなと思いました。

味覚は変わるよ、どこまでも。

きっと味覚だけじゃなく、物事の捉え方や、心地いいと感じる暮らしのペースも、これからもどんどん変わっていくはず。

若い頃に「これは苦手」と決めたものでも、何十年か経ったある日、ふっと好きになっていることがある。

今回のにんじんとツナのサラダは、まさにそんな出来事でした。

年齢を重ねると失うものばかりに目が向きがちですが、実は新しく出会い直せるものもあるのかもしれません。

だからこれからも、「私はこういう人だから」と決めつけすぎずに、変わっていく自分を面白がりながら暮らしていきたいと思います。

もし今、昔苦手だった食べ物や趣味があったら、もう一度だけ試してみてはいかがでしょうか。

案外そこに、小さな再会が待っているかもしれません。

「あんなに苦手だったのに、今の私、これが好きなんだ!」


そんな風に、変化していく自分を「へえ、面白いね」と面白がれる今の自分が、なんだか少し頼もしく、愛おしく思えるのです。

みなさんにも、若い頃は苦手だったけれど、今なら愛せるかもしれないもの、ありませんか?


クローゼットの奥の服、昔読めなかった本、そして、あの頃苦手だったあの味。

気が向いたときに、ふらりと「今の自分」で試してみてはいかがでしょうか。


思いがけない素敵な出会いが、待っているかもしれませんよ。


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